労災保険とは?
労災とよく呼ばれますが、正式には「労働者災害補償保険」といいます。
労災保険は、仕事が原因で労働者が怪我をしたり、病気になった時、使用者に落度がなくても、事業者は労働者に補償する義務があります。
災害補償の義務を、事業主が履行できるよう保険の加入が義務付けられています。
労災保険の取扱窓口となるのは、会社所在地を管轄する労働基準監督署となります。
労災保険が適用される事業・労働者は?
パート、アルバイト、外国人労働者等すべての労働者を、1人でも雇用・使用しているすべての事業に適用されます。
個人経営している農林水産業で小規模のものは、加入が事業主、労働者の意思に任されるとされています。
また、労働災害の適用される労働者には、パート、アルバイト、臨時雇い、日雇労働者、外国人労働者等の名称を問わず、労働時間、日数の長短に関係なくすべての労働者に適用されます。
請負事業における災害補償について
土木建築事業が数次(下請・孫請け)によって請負われている場合、災害補償の責任は、元請業者にあります。
たとえ小さな規模の工事であっても下請を使用して行った現場の災害は、元請業者の労働保険を使用して補償されます。
建設現場では、元請、下請、孫請の各業者の作業員が作業現場で働いています。
このような状況の中で災害が発生した場合、責任の所在が曖昧になる可能性があります。
災害にあわれた方に対し迅速に対応するためにも、現場監督責任がある元請業者を災害補償の責任者としています。
労災保険料・申告・納付について
事業主が労災保険料をすべて負担します。
申告・納付は、4月1日から翌年3月31日までを保険年度とし、毎年6月1日から7月10日までに行います。
保険関係成立時(労働者を雇用した日)にその年度の終了までの保険料を見込払い(概算保険料申告)し、年度終了後に実際の額を確定させ、過不足を精算(確定保険料申告)します。
請負業の労災の保険料ですが、工事全体を一つの事業と捉えて計算がされることになります。請負業の労災の保険料ですが、工事全体を一つの事業と捉えて計算がされることになります。
その事業の事業主は元請と考え、保険料の計算には下請人に使用される労働者も含まれます。
保険料の原則の計算式として
保険料=保険年度に支払われた賃金総額×労災保険率
労災保険率は事業により率が変わります。
例えば、道路新設事業 11/1000、建築事業 9.5/1000 です。
請負事業の賃金総額を正確に算定することが困難な場合、賃金総額とすることができる特例があります。
賃金総額=請負金額(税込価格)×労務費率
労務費率も業種によって異なります。
例えば、道路新設事業 19% 建築事業 23%
事業主の労災加入(特別加入等)
労働基準法において労働者ではない中小事業主、土木建築業等の個人業者、一人親方、家内労働者等は対象とはなりません。
しかし、業務の実態、災害の状況から見て労災保険制度を利用して保護を必要とする場合があります。
役員も含め個人事業主等のために、特別加入制度があります。
特別加入制度は下記の内容となります。
過去、建設業の工事現場において、労災未加入の問題が度々見受けられていました。
工事現場で労災保険加入の掲示が義務となり、令和2年の建設業法の改正により、社会保険の加入が申請時にチャックされ、未加入であれば受けてもらうことはできなくなりました。
労災保険加入が今後の建設業に必須であることの認識は必要です。
「うちは建設業許可がとれるの?」と不安がある経営者の方は、是非当事務所にご相談ください。